第1回 「1911年近辺の歴史」

本公演「見よ、飛行機の高く飛べるを」は、1911年の女子師範学校が舞台となっています。

20世紀は始まったばかり、その頃の日本はどのような状況下にあったのか、さらっとおさらいしましょう。



1911年から遡って7年、1904年に日露戦争が勃発し、翌年日本はロシアに勝利。

大国である清、そしてロシアに勝った日本は東アジアで猛威を振るいます。

その後、朝鮮や中国で抗日運動が盛んになり、ついに1909年10月、伊藤博文暗殺。

抗日運動はますます盛り上がりますが、1910年には韓国併合が行われ、
諸国から非難の目を向けられることになりました。

対外情勢は平和とは言えない状況だったようです。



では、国内の状況はどのようなものだったか。

この時期は国内で新しい文化や思想が発展した時期で、かの有名な夏目漱石が著作を発表し出したのもこの頃です。

また忘れてはいけないのが1911年『青鞜』発刊。女性の権利という思想がまさに芽吹き始めたのです。

その裏で政府は言論統制をはかるために様々な政策を行いました。

例えば1909年には新聞紙法が制定され、新聞・雑誌の記事には規制をかけるようになります。

そんな中で起きたのが1910年の大逆事件です。

社会主義者らによる明治天皇暗殺計画が露見し、それに乗じた政府は多くの社会主義者を死刑に処しました。

新しい思想の発展と政府の弾圧がこの頃の特徴と言えそうです。

そして1912年7月に明治天皇は崩御、「大正」という新時代が始まりました。

余談ですが、飛行機といえばライト兄弟。

彼らは1903年12月7日、人類初の動力飛行に成功しています。

初江が飛行機の高く飛ぶのを見たのはその8年後。この間に航空技術はかなり進歩したようです。

1911年の前後10年は、アジアだけでなく世界中で戦争が起きています。

その大きなうねりの中で、1914年7月、第一次世界大戦が開戦。

以後、日本は二度に渡る世界大戦の激動に飲み込まれていくことになります。


文責 高橋美都(制作)